コラム

【小説】鈴木光司「リング」

5.0

「貞子」で有名なホラー小説、鈴木光司の「リング」の書き出しが、「三溪園…」で始まることをご存知ですか?

三溪園に隣接する住宅地の北端には十四階建てのマンションが数棟立ち並び、新築にもかかわらずそのほとんどの部屋はふさがっていた。一棟に百近い住居が密集していた(中略)。

南の方向では、脂っぽい海が工場の常夜灯の光をテラテラと照り返している。工場の外壁には無数のパイプがまとわり付き、(中略)見ようによっては美しい。

鈴木光司「リング」冒頭より引用

記者・浅川の妻の姪、大石智子が九月五日の午後十一時前後に本牧の自宅で死亡するシーンから物語は始まります。

「三溪園に隣接する住宅街」の位置関係ははっきりしませんが、南の海とは、根岸湾の工場夜景のことですね。

リングは1991年6月出版、原作が執筆されたのは1989年です。

1989年(平成元年)にマイカル本牧がオープンし、バブル景気で次々とマンションが増えていった、昭和後期の時代背景が伺えます。

著者 鈴木 光司 定価: 660円 (本体600円+税) 発売日:1993年04月22日 判型:文庫判 商品形態:文庫 ページ数:336 ISBN:9784041880012

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