コラム

【漫画】がっこうぐらし!

5.0

「がっこうぐらし!」(全12巻)は、パンデミック後の世界でのサバイバルを描いたゾンビ漫画です。主人公は、学校に立てこもった女子高生たち。高校→大学→会社と近隣の施設を移動しながら、ウイルス蔓延の謎を解いていきます。大変人気があり、TVアニメ化、実写映画化などのメディア展開もされました。

その作中に登場する地図がこちら。

拡大すると、×□神社、×□博物館、◯◯教会、◯◯出張所、宿舎、駐車場、3丁目、学院事務部、の文字が読み取れます。四角囲みの◯◯町4丁目 ◯◯前は、交差点です。

これは近所の人ならすぐわかりますね。根岸森林公園周辺の地図です。真ん中の黒い形はスイレン池馬の博物館に、横浜国際バプテスト教会山元町消防出張所と並び、山元町4丁目の交差点があります。山元小学校前三叉路付近の根岸道路は山元町3丁目にあたります。

また、×印をつけ、スクリーントーンカラーで塗り潰してある3箇所は、学校の敷地を表しています。左下は聖光学院(中高一貫の男子校)、右上は山元小学校、右下の学院事務部とあるのは横浜訓盲学院事務局です。敷地が二つに分かれて見えるのは、道路を挟んで普通部理療科の校舎が離れているからです。

左下の神社はズバリ白滝不動尊でしょう。一応、地図上は近所に御嶽神社稲荷神社があることになっていますが、現地にはただ鳥居が立っているだけで、そこには何もありません。この位置関係で寺社仏閣の体をなしているのは白滝不動尊だけです。知る人ぞ知る穴場スポットを的確に絡めてくるということは、作者はかなり根岸に縁深い人なのかもしれません。ちなみに白滝不動尊は神社ではなくお寺です卍

地図を回転させて重ね合わせ、検証したファンがいました。

@randal810(巡淫会)

完全に一致しています。

宿舎と書いてある地点には、現在はプレシス横濱山手パークフロントというマンションが建っています。しかし、過去のストビューを見ると、以前は団地が建っていた場所を、2016年に更地にして、マンションを新築している様子がわかります。ここは国家公務員(経済産業省職員)の旧根岸台宿舎跡地なのです。

また、現地写真を見ると、英語の青い看板と、黄色い通行止めが目立ちます。

青い看板には「COMMANDER U.S. FLEET ACTIVITIES YOKOSUKA(横須賀海軍施設司令部)」「FLEET ACTIVITIES, YOKOSUKA, JAPAN (日本・横須賀海軍基地)」「SERVICE TO THE FLEET(軍用)」「YOKOHAMA DETACHMENT NEGISHI NAVY HOUSING COMPLEX(横浜支所根岸海軍住宅団地)」と書いてあります。

日本語では「車両進入禁止 この区域は日米共同使用区域になっており、関係者以外の車両の進入及び駐車は認められていません。」「この通路は全域駐車禁止」と書かれています。

ここ山元町4丁目交差点より奥は、米軍の根岸住宅地区へ続く主要道路なのです。Googleストリートビューも入っていけません。

根岸住宅地区については、2004年(平成16年)に日本への返還が日米間で合意され、2019年(令和元年)日米共同使用で合意しました。

以前は森林公園利用客が路駐の列を作っていましたが、2020年から路肩に囲いがされ、逆に管理が厳しくなりました。「共同使用」の看板が立ったのもその頃でしょう。

「がっこうぐらし!」の連載時期は、2012年〜2020年。

作品に登場する施設は、下記の場所をモデルにしているそうです。

  • 巡ヶ丘→緑ヶ丘
  • 巡ヶ丘学院高等学校→緑ヶ丘高校
  • 聖イシドロス大学→聖光学院
  • ランダルコーポレーション→仲尾台中学校
  • アニメのエンディング映像→根岸湾
E139.645,N35.419

作中に登場する、居場所を知らせる手紙の緯度経度をGoogleマップで検索すると…

根岸町2丁目の集合住宅「B・H根岸」と一致しました。位置情報をほんの少しズラしているのは、実在の建物への配慮でしょうか。

作者の海法紀光さんは、「神奈川県出身」としか公表されていませんが、横浜市、それも根岸の住民なのかもしれません。聖光学院は母校だそうです。

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