コラム

日本の祭礼について

祭礼を語るにあたり、特別な読みをする用語がたくさん出てきます。神輿、山車、渡御…正しく読めますか?日本のお祭りについて、基礎知識をおさらいしましょう。

祭礼とは

各地のお祭りでは、神輿みこし山車だし渡御とぎょが行われます。

神様はふだん神社にいます。祭りの時には、神社におしずまりになっている神様が、神輿みこし山車だしにおうつりになり、氏子うじこの手で地域を巡幸じゅんこうします。

この祭事により、神と人とが一体となり、人々はお祭りを通じて活力を取り戻し、神さまもこうした人々の姿を見て喜び、渡御とぎょする地域の人々に御利益ごりやくをもたらす信じられています。

神霊の降臨・移動を中心とする祭礼のことを、「神幸祭(しんこうさい・じんこうさい)」または「渡御際(とぎょさい・とぎょうさい)」と言います。

と‐ぎょ【渡御】 [名](スル) ②神輿が進むこと。《「とぎょう」とも》

しん‐こう〔‐カウ〕【神幸】 《「じんこう」とも》 ①祭事などのとき、神体がその鎮座する神社から他所へ赴くこと。「神幸祭」

神輿とは

み‐こし【▽神×輿/神=輿】 ①神幸のとき、神霊の乗り物とされる輿。形は四角形・六角形・八角形などで、屋根に鳳凰 (ほうおう)・葱花 (そうか:ネギの花) などを飾り、台には2本の担ぎ棒をつける。しんよ。おみこし。《季 夏》

祭礼では、最初に神社の本殿にまつられている御神体ごしんたい神輿みこしうつす儀式(御霊遷みたまうつ)を行います。神輿みこしを担いでまちを練り歩くということは、神様がそのまちを巡幸じゅんこう渡御とぎょ)するという意味があります。 渡御とぎょを終えて神輿みこしが神社に戻ると(宮入り)、ご神体を神輿みこしから神社に還す儀式(御霊返し御霊納め)をして、祭りが終わります。 祭礼は、儀式で始まり儀式で終わる神聖な神事なのです。

神輿の進行方向

神輿みこしは前にしか進めません。 屋根に駒札こまふだ(神社や町名を記した札)が付いている面が正面です(駒札こまふだのない神輿みこしもあります)。 また、屋根の上の鳳凰ほうおうの向きでも正面の方向がわかります。 神輿みこしを後退させるときは、時計回りに180度転回して向きを変えて前進します。

山車とは

だし【山-車/花=車】祭礼のとき、引いて練り歩く屋台。人形や花などを飾りつけたり、大太鼓(おおだいこ)を積んだりして引き出す車。やま。ほこ。だんじり。さんしゃ。《季 夏》

神輿と山車の違い

神輿みこしかつぐもの(かつぎ棒がついていて人が持ち上げる)、山車だしくもの(台車に引き綱がついていて引っ張る)です。

お神輿は神様の乗り物なので、人が乗ってはいけません。山車も、お神輿と同じように神様が宿る神聖なものとする所がある一方で、人が乗って太鼓を叩いたり踊ったり、賑やかに神様のお供・先導をする役目のものとしてお祭りで活用する所もあります。

根岸の榊祭りも、昔は山車に人が乗って祭りを盛り上げていましたが、危険なので、今は人は乗りません。

なぜ神輿を担ぐのか

人はなぜ神輿を担ぐのか?それは、神輿を担ぐのが楽しいからです。楽しくなければ、絶えた祭りをわざわざ復活させたりしません。宗教が…文化が…伝統が…小難しい意義は置いといて、神輿を担ぐのが好きで、地元の人たちの楽しみだから、存続しています。ぜひ皆さんも一緒に楽しくお神輿を担ぎましょう。

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