根岸地区は、昔は一つの「根岸村」でした。
約500年続いた根岸村
根岸村は、神奈川県久良岐郡東部の村で、現在の神奈川県横浜市中区・磯子区にまたがります。西端は堀割川を境界とし、東端は本牧村と隣り合い、北東は大和町・麦田町あたりまでを含みました。

根岸という地名は、寛正4年(1463年)の古文書に「平子郷(たいらこごう)根岸村」と記されていることから、およそ560前には存在したことが確認できます。
また、永正9年(1512年)、伊勢宗瑞(北条早雲)の古文書に「本目四ヶ村」と記されています。漢字が異なるものの、これが本牧の地名の初出であり、四ヶ村のうちの一つが根岸村であったとされています。
沿革
- 室町時代頃〜江戸時代まで根岸村が栄える。
- 1889年(明治22年)町村制が施行され、久良岐郡根岸村となる。
- 1901年(明治34年)横浜市に編入され、横浜市根岸町となる。
- 1927年(昭和2年)横浜市が区制を施行、市内5区(鶴見区、神奈川区、中区、保土ケ谷区、磯子区)となる。根岸町のうち、西部が磯子区西根岸町、残部が中区根岸町に分かれる。
小さくなった根岸町
村から町へ
根岸村が横浜市に編入された当初は、旧村域がそのまま根岸町となりました。
磯子区と中区に分断される
しかし、区制が施行された際に、旧根岸町は分割されて、西根岸町・根岸町となり、別々の区に分かれてしまいました。
町名の新設
また、昭和8年の町界町名地番整理施行にともない、旧根岸町内の旧字名を廃止して18か町が新設され、現在の根岸町(1〜3丁目)だけが地名として残りました。
地名
磯子区に残る「根岸」の名残り
磯子区にはもう「根岸」のつく町名は一つも残っていません。しかし、根岸駅、根岸幼稚園、根岸小学校、根岸中学校、根岸地区センター、根岸橋など、根岸の名を冠した施設を多く有するのは磯子区側です。JR根岸駅周辺〜八幡橋付近は、今でも根岸地区と呼ばれています。なぜ根岸という地名が無いのに「根岸地区」なの?と疑問に思う方もいるでしょう。